映画「新しい人生のはじめかた」

映画「新しい人生のはじめかた」は、2008年に公開されたアメリカの映画です。CM音楽のディレクターで1人淋しく暮らす男・ハーヴェイを「卒業」や「クレイマー、クレイマー」で知られるダスティン・ホフマンが、過干渉な母親を抱え、婚期を逃してしまった女性・ケイトを「ハリー・ポッターシリーズ」のトレローニー役でお馴染みのエマ・トンプソンが演じました。人生の折り返し地点を過ぎた二人の男女が、恋に臆病になりながらも少しづつ距離を縮めていく様を、ロンドンの美しい風景の中で描いています。

ストーリー(ネタバレ)

ハーヴェイの暮らし

離婚して1人淋しくNYで暮らすハーヴェイ・シャインは、CM音楽の作曲家。かつては敏腕と言われた彼も、最近では若者にその座を奪われてしまい、仕事はあまり上手くいっていない様子。そんな中ハーヴェイは離れて暮らす娘・スーザンの結婚式のため、ロンドンへとやってきました。家族との再会を内心楽しみにしていたハーヴェイでしたが、用意されていたホテルは家族とは別の安ホテル。結婚式前の食事会でもハーヴェイの席は花嫁から一番離れた隅の席。本来父親が座るべき場所には、元妻の再婚相手・ブライアンが座っており、娘はその継父とバージンロードを歩くというのです。落ち込むハーヴェイでしたが、披露宴には仕事があるので出られないと娘に告げ、なんでもないように振る舞うのでした。

ケイトの暮らし

ケイトは過干渉ぎみな母親を抱えた独身女性です。40を過ぎても結婚しない娘に、母親はしつこく電話を掛けてきます。そんなケイトに年下の同僚がデートの場をセッティングしてくれます。同僚夫婦とその友人男性の4人で食事に行きますが、彼らの若い会話についていけず、ケイトは疎外感を覚えます。そんな時、いつもの母からの電話が。電話から戻ると相手の男性は、近くに座る若い女性と談笑しています。ケイトは席には戻らず、ひとり帰路に着くのでした。

二人の出会い

結婚式を無事に終え、急いで空港に向かうハーヴェイ。しかし途中渋滞に巻き込まれて飛行機に乗り遅れてしまいます。更に悪いことに、それが決定打となり仕事をクビになってしまいました。NYへ戻る必要がなくなったハーヴェイは空港のラウンジで自棄酒を煽ります。同じころケイトも、ラウンジで読書に耽っていました。ハーヴェイはケイトに気付き、話しかけます。実は二人は前日の朝に空港で出会っていたのでした。その時は、アンケートを頼むケイトに対し、ハーヴェイが邪険な態度を取っていたのです。ハーヴェイはそのことを詫び、自分にあった不幸な出来事を話し始めます。二人はお酒の力も手伝ってか、不幸話で意気投合。久しぶりに楽しい時間を過ごし、駅で別れを告げるのでした。電車の中でケイトは、大勢の人を掻き分けてこちらに近づいてくるハーヴェイを見つけます。朝まで予定のないハーヴェイがケイトを追いかけてきたのでした。ケイトが行く小説の講習会まで送るというハーヴェイに、戸惑いながらも了承するケイト。会場に着くと、ハーヴェイは終るまで待っていると告げます。寒空の下で一時間を過ごし、ケイトが会場から出てくると、二人はテムズ川沿いを歩きながら真夜中のデートへと繰り出します。仕事のこと、家族のこと、恋愛のこと、本音で話す二人。ケイトはハーヴェイに娘の披露宴に出るべきだと説得します。友人として一緒に参加してほしいというハーヴェイの誘いにケイトは了承し、二人でケイトのドレスを選んで会場へと急ぎます。

披露宴

参加できないといっていた父が友人を連れて現れたことにスーザンは驚きますが、温かく二人を迎え入れます。披露宴が始まり、「花嫁の父」としてブライアンが紹介されると、ハーヴェイは思わず立ち上がって「花嫁の父と言ったはず!」とスピーチを奪ってしまいます。会場の空気は緊張しますが、ハーヴェイは「娘は自立した素晴らしい女性に育ってくれた」とスーザンを讃えるのでした。娘と楽しそうにダンスをするハーヴェイを見届け、ケイトはそっと会場を後にします。しかしハーヴェイがそれに気付き、ピアノを弾いて彼女を引きとめます。二人はダンスをし、朝まで語り合い、翌日また会う約束をして別れます。

すれ違い

翌日。ケイトはハーヴェイのためにブドウを用意し、約束の場所で彼を待ちます。しかし時間になってもハーヴェイは現れません。ハーヴェイはその頃、不整脈の発作を起こして病院に運ばれていたのでした。ケイトは彼を待つことを諦め、ブドウを置いて去ってしまいます。翌日、回復したハーヴェイの元にNYでの仕事の話が舞い込みます。しかしハーヴェイは「これが幸せのラストチャンスだ」といい、仕事を断ってケイトの元へと急ぎます。ケイトはしかし、「現れて欲しくなかった。諦めて生きるほうが楽なの」と涙を流します。そんなケイトにハーヴェイは「将来のことは見当がつかない。でも、頑張る」と告げます。二人は寄り添って歩いていくのでした。

キャスト

スタッフ

感想

中年男女の恋って観て面白いのか?と疑問を持ちつつも、ダスティン・ホフマンが好きなので鑑賞しました。幸せになることを諦めた40代の女性と、誰にも必要とされていないという孤独感を抱えた50代の男性の恋。中々面白かったです。ストーリー自体はなんの変哲もない、よくある流れなのですが、二人の「諦め」が随所に込められた会話や、人生を経験し、沢山傷ついてきたからこそあと一歩で踏みとどまってしまう様子がとてもリアルでした。主演の二人がとても上手くて、感情移入してしまって大変でした。「大勢の中での孤独」って辛いですよね。私だけ1人だと気付いたときの疎外感や虚しさ。それを何度も経験しているから、ケイトは凄く奥手で慎重派です。「諦めて生きるほうが楽」というセリフは心にグサッと刺さりました。ハーヴェイはその一歩先を行っていて、仕事もクビになり、娘は継父に取られ、もう捨てるものが何もないのでやけくそになってる感じが見受けられます。だからケイトにたいしてもちょっと強引で、でもとても紳士的なので好感がもてます。ダスティン・ホフマンの愛らしさがとてもよく出ていますね。とくにエマ・トンプソンと二人で並んで歩いている姿がいいです。エマのほうが背が高いので余計に可愛く見えます。最後に二人で歩くシーンではケイトがヒールを脱ぎ、ハーヴェイと背の高さを同じにして歩くシーンはとても微笑ましいです。年齢を重ねてきた大人たちだけあって「一生大事にする」とか「離さない!」とか言わないのもいいなと思いました。一歩踏み出す勇気をくれる、温かい気持ちになる映画でした。ちなみに映画の最後に、ケイトの母親にもちょっとしたハッピーエンドが訪れるので、最後まできちんと見てくださいね!